小噺・忙中閑有

「……土方さん」
「何でェ」
「あんた、忙しいとか云ってたわりにゃあ、随分暇そうにしてるじゃねェですかい」
「いいや、暇じゃねぇぞ。実は、会津候に出さなきゃならねェ書類が、山のように溜まってる」
「……で、何でそうやってごろごろしてるんで?」
「――厭きた」
「厭きた、って、あんたァ……」
「ここずっと書き仕事ばっかりなんだぜ。もう書面なんざァ、一枚たりとも見たかァねェ。――(顔を上げて)おい、総司、おめェ見回りとか行かねェのか?」
「今日の見回りァ、二番隊と十番隊ですぜ。俺ァ非番でさァ」
「――撃剣の稽古ァどうした」
「そっちァ一ちゃんが当番で」
「……ちッ(ごろり)」
「“ちッ”て、あんた……そんなに仕事したかァねェんですかい」
「だから、先刻から“厭きた”って云ってるじゃあねェか」
「……(溜息) そんなに書面見んのが厭なら、気晴らしに姐さんとこにでも行きゃあいいじゃねェですかい」
「……こないだ、行くってェ手紙やってから、半月ばかり動けなかったから、今ァ行きたくねェ」
「伸ばし伸ばしにしてると、もっと行けなくなりますぜ?」
「……ともかく、屯所から出る暇ァねェんだよ」
「……じゃあ、おとなしく仕事してりゃあ良いじゃねェですかい」
「だから、やりたくねェんだってェの」
「そんならいっそ、発句でもひねるとか」
「そういう気分じゃねェ」
「……我儘ですぜ、あんた」
「そんなのァ、元よりわかってた話だろうが」
「……うっわ、開き直りやがった……」
「あァあ、何かこう、面白ェことァねェのかよ」
「そうそう面白ェことが転がってるわきゃあねェでしょうさァ。――崎さんの報告とかは聞いたんですかい?」
「あァ、あっちも大した動きはねェようだなァ」
「それァそれァ……平和で結構なことじゃあねェですかい」
「あァくそ、いっそ不逞浪士どもの大乱でも発覚すりゃあなァ。そうしたら、書面とにらみ合ってる暇ァなくなるんだがなァ」
「……あんたァ」
「何でェ」
「世の中にゃあ、云っていい冗談と、悪い冗談ってェのがあるんでしょうに」
「何云ってやがる、不逞浪士どもが大乱起こしゃあ、俺たちァ大忙しになるだけだろ。ついでに、俺の書類仕事も期限を延ばせるし、一石二鳥じゃあねェか」
「……馬鹿なこと云ってねェで、さっさと仕事しなせェよ。あんまりぐだぐだしてると、源さんにご注進に行きますぜ」
「(ようやくのろのろと起き上がる)――あァ、本当にやりたくねェ……」
「そうしてうだうだしてる間が勿体ねェとか、そう云う風には考えらんねェもんなんですかねェ……」


† † † † †


阿呆話at??? タイトルに偽り有。
今回は、何と云うか、だらだらで。だって、たまにはだらだらしたい時だってあるんだよ。


本当は、山南さんの出てくるのか、甘党談義にしようと思ってたのですが――まァ、山南さんの話は、山南役のリアクション見てからな、と思ったので、また今度。甘党談義は……強烈な話がもうひとつくらい欲しいので、こっちももうちょっと。ただ今ネタ捜索中、ってことで。
あァ、あと、これはどうだってので、鬼と総司で銀/魂を語るってェの! どうですか、やってもいいですか。とりあえず、とうしろうさん(笑)は鬼の百倍くらいカッコいいですよ(笑)。そうご(笑)は、総司の百倍くらい可愛いです。
まァしかし、これは今WJ本誌でやってる話が単行本になったくらいがいいのかなァ……これもまァ、考え中で。


ところで、他所の鬼の話とか読んでて思ったんですけど、勝さん勝さん云ってるのって、もしかしてうちの鬼だけ? うちの鬼、超↑勝さん大好きですが。例の脳外シュミレーション中でなんか、まさしく“勝の狗”状態ですよ。頭の黒い狐ですが。
しかも、他所の勝さんって、性格がイマイチ……まァ、うちのも決して良い性格じゃあないんですけどさァ。
まァいいや。あたし的には、“勝の狗”OKだし。


さてと、次は鉄ちゃんの話だな。
いよいよ1869年ですよ。あと半年足らず、つーか、鉄ちゃん的には四ヶ月くらいか。頑張っていこう!