小噺・山崎烝の儀

「そうそう、土方さん」
「……何でェ」
「この間、山崎さんに会いましたぜ。源さんとこでですけど」
「……源さんとこァ、溜まり場んなってるのかよ。で、山崎は相変わらずだったか」
「相変わらずでさァ。源さんと碁打ちしてましたぜ」
「好きだよなァ、あのふたりァ。また賭け囲碁か?」
「や、普通に打ってましたぜ」
「そうか。どうも、賭け囲碁ってェと、源さんに足払われたのを思い出して仕方ねェんだよなァ」
「あァ……まァ、あのふたり、賭け囲碁も好きでしたからねェ」
「で、どっちが勝った?」
「こないだは、源さんが勝ってたみたいですねェ。いい勝負でしたよ」
「まァ、山崎も碁は巧かったからなァ」
「あんたより下手なのァ、野村さんくらいでしょうさァ」
「やかましいわ!」
「おや、下手だってェ自覚はあるんですねェ(にやにや)」
「……ちっと打てるからってェ、おめぇってやつァ……」
「まァまァ、いいじゃねェですかい、碁が生き死に分けるわけでもありませんしねェ」
「碁なんぞで、生き死に分けられてたまるか!」
「自信がねェってェ、丸わかりですぜ、土方さん(笑)。――それァともかく、山崎さんァ、何でか知らねェですけど、俺が寄ってくと、びくっとしましたよねェ。あれァ一体何でなんでしょうかねェ」
「……おめェ、それァ本気で云ってやがんのか」
「何がですよ?」
「……山崎がおめェを厭がんのァ、おめェがあいつの仕事の邪魔ァしやがるからじゃねェかよ」
「心外ですね、いつ俺が、山崎さんの仕事の邪魔ァしたってェんですよ?」
「隊内の監察やってる時に、おめェ、あいつの潜んでたとこにぬぅっと顔出しやがったそうじゃあねェか。あいつだけじゃねェ、島田も、吉村君も、おめェに邪魔されたってェ泣きついてきたぜ?」
「ひでェ云われようですよねェ、俺ァ単に、山崎さんたちの仕事を手伝ってあげようと思っただけだったってェのに」
「潜んでるのに声かける段で、充分邪魔してるじゃあねェか!」
「何云ってんですよ、ちゃんと、山崎さんたちが拾えねェネタ、拾って教えてあげてたじゃねェですかい」
「……まァ、それに関しちゃあ、山崎も驚いてたなァ。あれァ、どうやって仕入れてきた?」
「まァ、子供ってなァ、意外にいろいろ見聞きしてるもんなんですぜ」
「子供から、ネタァ引き出してたのかよ」
「そうですよ。俺だって、ただ遊んでただけじゃあねェんですぜ」
「ほとんどァ、ただ遊んでただけだろうが!」
「……何ですよ、了見の狭ェこと……」
「了見のおかしいなァ、おめェの方だろうが!」
「まァまァ。――そう云や、山崎さん、あんたの真似して、“源さんに云いつけますよ”って脅しかけてきたことがありましたっけねェ」
「あァ?」
「いえね、山崎さんがどうしても押さえられねェネタがあったらしいんですけど、そしたら崎さん、俺が、護衛の任務ふけって、下鴨神社で露店回ってたの、源さんに云いつけるって云ってきやがったんでさァ。云いつけられたくなかったら、崎さんの掴めなかったネタァ掴んでこいってんで。これァ立派な脅しですよねェ」
「……で、おめェどうした?」
「どうもこうも、それ見てた崎さんだって、追ってた相手ェ見失って下鴨なんぞにいたわけですからねェ。任務しくじったって源さんにばれるってェ云ったら、それァちゃらになりましたがね。ま、でも可哀想なんで、ネタァきちんとかき集めてきましたぜ」
「ほほう、そいつァ大したもんだ。――ところで、総司よ」
「何ですよ?」
「おめェが護衛の任務ふけって下鴨行ったってェのァ、もしかすると、会津のお偉方の護衛すっぽかしたってェあれのことか?(にっこり)」
「……えェと?(視線を泳がせる)」
「仕方ねェから、代わりに永倉をやった、あん時のことか? 不逞浪士追ってたってェ、随分経ってから帰ってきた、あん時なんだな?(怒/笑)」
「……いや、まァ、ねェ……」
「おめェってェ野郎は……!」
「いやいやいや……(と云いつつ、脱兎)」
「待ちやがれ、総司ィ! ……あの野郎、相変わらず逃げ足ばっかり早ェ……!」


† † † † †


阿呆話at地獄の三丁目。
ザキさんの話……か?


今回ザキさんなのは――銀/魂で退くんが死んだ(?)からか? ……まァ、死んじゃあいないとは思いますが、ジャンプだからね。
関係ないけど、銀/魂の副長よりも、銀さんの方が鬼に似てると思う――駄目なところが。つーか、魂妖刀に喰われた十/四/郎でもいいんですが。シモネッタは口にしないと思いますが。口にしないけど、嫌いでもないと思う。先生と一緒だな(笑)。
ザキさんは、『風光る』のと『無頼』のを足して2で割って、ほんのちょっと茫洋とした感じを足すとイメージかな、自分的に。『風雲新撰組』のザキさんよりはやわらかい感じで。
しかし本当に、いっつも思うんだけど、ザキさん、何で鬼のこと尊敬してたの? そればっかりは、本当に謎ですよ……これに関しては、ザキさんに限らず、島田、相馬、野村と一ちゃんあたりもだけど。源さんや総司から見た鬼なんか、ただのヘタレだったと思うんだけどねェ……


さてさて、次は鉄ちゃんの話、ですが、三日四日と友人と呑む上に、五日は日野に行くつもり(今度こそ晴れてくれ!)なので、更新どうしようかな……
日野レポートもひっそり上げるつもりですが――とりあえずは話から、かなァ……