イタリア紀行 その5

6日目です。
暇と興味の……


6日目、午前中はフリー。
と云っても、ヴェネツィアではまったく行きたいところのない私ども、金もないので、昨日のドージェの館の入場券で入れる、サン・マルコ広場のコッレール博物館へ。
これが結構。
ちょうど、書物の歴史みたいな特別展示を(常設と一緒に)やってまして。ビブリオマニア(に近い)の私的には、とてもお買い得でした。
おおお、世界初の文庫本、アルド社のオッターヴォが! うわ、装飾写本が! おお、ルカ・パチョーリ師の本(先生が挿絵を描いてる)が! すごいすごい。
他にも、ヴェネツィアで発行された数々の貨幣、発掘されたローマ時代の彫刻、ヴェネツィア派の絵画ももちろんありました。
しかし本当に、こうやって見ると、フィレンツェの絵画ってのは、質が全然違うもんだなぁ、と、しみじみと思ったり。先生と同時代のヴェネツィア派の画家の絵って、喩えるならば普通の小学生の描いた絵みたいなもんだもん。デッサンはなっちゃいないし、構図も変。でも、これでも画家なんだよねぇ。うーん。
こんな画家ばっかりじゃあ、フィレンツェ出身の画家を、諸手を上げて迎えるわけさ。はぁ。
と、そんな感慨にも浸ったりしました。


さて、自分用に、目許を覆うマスケラ(欲しかったんだ!)を買い、昼(は、朝食を食べ過ぎたので生搾りオレンジジュースのみ)の後、今度はバスでミラノへGO!
の前に、ヴェローナへ。『ロミオとジュリエット』の舞台になったところですね。
うーん、ここは……まぁ、ヴェローナの町に、そんなふたりはいなかった、という感じですか?
いやまぁ、キャピレット(カプレッティ、と云うらしい)家の庭のバルコニー下に、ジュリエッタ(とイタリアでは云う)の銅像が。触ると1年以内に新しい恋人が出来ると云うので、沖田番と一緒に触りつつ、ついでに写真も撮っておく。俗っぽいですか? まぁ、そんなもん。
で、街中をふらふらと歩き、マリア・カラスが昔住んでた家を見て、ヴェローナとお別れ。


今度こそミラノ! と思ったら雨。すごい雨。
でも、南西の方角の空は夕焼け。すごいブルーと紫がかった灰色の雲、その稜線は夕焼けのオレンジ。空の下の方は、レモンイエローみたいな薄緑のかかったいろ。
絵のような、と云うか、天使の下りてきそうな空。すごい。本当にこんな空なんだ、イタリア。


その夕焼けの光が滲んで消えて、夜の闇に空が覆われた頃、ミラノ到着。
ホテルはアンタレスコンコルド。地下鉄1号線トゥッロの近くのホテルです。ちょっと市街地から遠いな。
夕食に、リゾット・アッラ・ミラネーゼとコストレッタ・アッラ・ミラネーゼ――うううん、ちょこっと何か……沖田番にリゾット作らせよう。と思いました。
ホテル隣のスーパーで、ブラッドオレンジジュース(失敗。果汁30%くらいだった……)を買って、この日はおしまい。


まだ続きますよ。